
エリオット波動の概要
エリオット波動とは、FXなどで取引をする場合に相場の波のリズムを理論化したものです。
一般的にFXをおこなう場合はテクニカル分析などをする必要がありますが、その際に必要な考え方の一つがこのエリオット波動なのです。
これを理解することによって、より相場を正しく理解することができ、分析しやすくなるというメリットがあります。
相場自体はその波の動きが一定というわけではなく、急に転換することも決して珍しくありません。
その際、相場の転換点がどこか分からないと、なかなかスムーズな取引ができなくなってしまうこともあります。
その点エリオット波動を理解しておけば、相場の転換点を何も知らない時よりも予測しやすくなるというメリットがあります。
また、この考え方単体でも分析はできるのですが、他の考え方と合わせていくと、より幅広いトレードができるようになるのです。
そのため、FXではこのエリオット波動を利用するのは非常にメリットがあると言われています。
まず前述したように相場の転換期、つまり局面を理解することができるようになるということです。
また、その場合に損切りのタイミングもしっかりと把握できるようになるので、リスクマネジメントにも大いに繋がります。
さらにエリオット波動はどんな時間軸でも利用できるようになっています。
ただ決して万能な方法というわけではないので、より安全にFXをおこないたい場合エリオット波動以外の考え方も合わせた分析をおこなうほうがより良いとされています。
エリオット波動の基本の形

エリオット波動の基本形は最初に上昇「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」の後に、下降「下げ→上げ→下げ」となります。
つまり上昇5波+下降3波で一つのサイクルとなります。そしてそれぞれの波の中に小さな上昇5波+下降3波が存在します。
そしてこの波のリズムは過去には世界大恐慌や、その他の大きな大暴落も的中させていることから注目されています。
それぞれの波の意味
上昇5波+下降3波で一つのサイクルということは説明しましたが、このそれぞれの波に一つ一つ意味があります。
上昇1波
少しずつ上がっていき方向性が確定していく。ここでは方向性がはっきりと確定しているわけではありませんので「買い」を狙うのは難しい。
上昇2波
1波と反対に動き1波の動きを消すような動きを見せます。
上昇3波
通常全5波の内一番長い波になる傾向があります。この3波は利益を取れる可能性が高いためねらいたい波です。
上昇4波
上昇3波を少しだけ調整する動きを見せます。この動きで上昇3波の終わりが確認できるかと思います。
上昇5波
一番長くなる上昇3波を確認して遅れて参入してきた人の「買い」のため最後の一波です。一番急騰する可能性はあります。
以上は上昇トレンドの例となります。全て逆に考えると下降トレンドにも応用できます。
それぞれの波の原則
そしてこの上昇5波+下降3波には3つの原則があります。
- 上昇1、3、5波の内、上昇3波が一番短くなることはない。
- 上昇2波の下降部分が大きくなり上昇1波を下回ることはない。
- 上昇4波の下降部分が上昇1波の頂点を下回ることはない。
ただ相場に絶対はなく上記のような原則通りでないことも多々あります。よって柔軟に考える必要があります。
エリオット波動の使い方
エリオット波動を利用したトレードをする場合に捉えたい波は第3波ということになります。
なぜかといいますと第1波は、トレンドの初動のため一般の人には分かりません。
第2波、第4波はトレンドと逆のエントリーとなりますので避けたい所です。
第5波は利益が伸び切った後くらいになるため高値掴みになってしまう危険があります。
よって一番利益が伸びると思われる第3波をねらいに行きます。
ただエリオット波動の難しい点は、後からなら波のカウントが分かるという点です。
リアルタイムですと、人によって波のカウントの仕方に違いが出てくる可能性があり、うまく第3波を捉えられない可能性があります。
よっていくつかのパターンを想定してトレードを行うということも大事になってきますが、他の根拠と組み合わせて使うというやり方を今回はご紹介します。

今回は一例として上記のチャートを使用します。
ローソク足の動きだけでエリオット波動の波をカウントしますと、本来ならば赤線で示したような波でカウントをしたい所です。
ただ人によってはピンク線の動きで波をカウントしてしまい「あれ!第6波以上あるぞ?」という可能性も出てきます。
よってローソク足の動きだけで波をカウントするのではなく、水平線やチャートパターンなどの根拠も組み合わせて判断をしたほうが良いかと思います。
今回青の太線で示したようにトリプルボトムが出現しています。
よってこの後に上昇の可能性があると予想がつきます。ネックラインが①の水平線になりますが、ここまでの動きに乗るのは難しいかと思います(第1波)
となりますと①のネックラインを超えた後の押し目が、一番の狙い目となります。
そしてその動きがどこまで出る可能性があるかというと、②で示した次の節目ということになり、さらに上昇をする可能性があるのなら③の節目くらいまではいくだろうと予想できます。
それぞれの節目で一度上昇が止まる可能性が高いことから、それをヒントに考えれば一番利益が伸びると言われている第3波を捉えることも可能になるかと思います。
エリオット波動 過去チャート分析

ユーロ/ポンド(20/07/20~25)の期間で、後からではありますがチャート検証をして利益を取れる箇所があったかどうかを見ていきたいと思います。
波動を分析して対象の期間で利益をねらえた箇所があったかどうかを検証します。
まず最初にエリオット波動の簡単な復習です。

エリオット波動とは安値から安値の一つのサイクルは、上昇5波+下降3波で構成されるというものです。
そしてこの波にはある原則が存在します。
- 上昇の波、第3波が一番短くなることはない。
- 上昇第2波が第1波を下回ることがない。
- 上昇第4波が第2波の頂点を下回ることはない。
というものです。この原則の元、チャートを分析します。
実はエリオット波動はカウントする波のスタート位置や、どの波をカウントするかなど人それぞれ変わってきてしまいますし、後から見て波の数がわかるという場合が多いです。
となるとエリオット波動のみで相場を分析するよりかは、他の根拠も合わせて検証する方が良いと思います。
ですが、今回は水平線や他の根拠は使わずエリオット波動のみで分析してみます。

まず上記は日足となります。縦の赤線から右側が20/07/20~25で今回検証対象の期間となります。
まずは日足で波のカウントをしてみます。赤の矢印パターンですと現在は第5波の途中となります。青の矢印パターンでも現在は第5波の途中となります。
ただ青の矢印パターンは上昇第4波が第2波の頂点を若干ではありますが下回っているため不採用とする人もいるかもしれませんし、誤差の範囲と見る人もいるかもしれません。
この時期はコロナの影響があり相場の乱高下がありますので、エリオット波動がきれいに機能してくれるかはわからない面もあります。
どちらにしろ日足では現在は第5波の途中となっているように思えるので、ピンクの水平線を超える可能性があります。
よって上昇トレンドと判断して買い目線で考えたいと思います。

次は4時間足です。赤の縦線から右側が検証対象期間です。赤でエリオット波動の上昇第1波から上昇5波までラインを引き、青で下降第3波まできれいにラインが引けました。
よって次は赤丸の所から波を数えたいと思います。最初に説明したエリオット波動の原則を考慮すると現在は上昇第3波の途中と思われます。
ということで来週以降は買い目線で良いかと思いますが、赤の縦線で引いた検証対象期間で利益をねらうには、上昇第2波(下降しているローソク足)の途中くらいで短期で「売り」をねらう。
もしくは第3波のどこかで「買い」をねらうということが考えられそうです。
ちなみに上昇第1波が終わったのか?現在第2波なのか第3波なのかなどは、リアルタイムでは転換してからしばらくローソク足が出てくれないとわかりません。
よって転換したと思いすぐ売買をしてしまうと、実は転換していなかったということにもなりかねないので慌てないことが大切です。

次は1時間足です。同じように赤の縦線右側が今回の検証対象期間です。
波動のカウントですが、上記のようにカウントしてしまうと第4波の安値が第1波の高値を下回ってしまいます。
エリオット波動の原則にあてはまらなくなってしまうため、これは間違いとします。

よって上記のようにカウントしてみたいと思います。上昇の最初は赤ラインで示したカウントの仕方が自然かと思います。
ですがこれですと第3波が第1波、第5波より短くなってしまう(縦の値幅において)ため原則から外れてしまいます。
よって無理やりになりますが、青線のようなカウントにしてみました。
このようにエリオット波動は、多少無理な解釈も出てくることもあるようです。
赤の縦線より左で上昇分はカウント終了、よって下降3波の中から利益を取りたい所です。
現在はチャートが出来上がっているため下降3波もわかりますが、リアルタイムの場合はダブルトップ後のピンクの水平線にネックラインがありますので、これを下回ったくらいで下降第1波が始まったかもと推測して戻り目をねらうのが良いかもしれません。
そして今回はこの1時間足の下降第2波が戻り目と判断して、再度下に下がり出した第3波に入った辺りでの「売り」エントリーができそうです。
ただ日足、4時間足でのエリオット波動の波のカウントで、現在上昇波のようですので短期的なエントリーの方が良いでしょう。
そしてこれ以降ですが、きれいな波を描いていません。恐らくエントリーしても損切りの可能性が高いです。
そしてこれ以上短い時間足ではエリオット波動は効いていないように思えますので、波のカウントはこの時間足までにしたいと思います。
なお水平線やトレンドラインも併用して長期足で波のカウントをして分析し、短期足でエントリーをすればまだ利益のとれる箇所もあるかと思いますが、今回はこのくらいにしておきます。
まとめ
エリオット波動は、どこを基準にカウントをするかによって人によって解釈が変わってくる点があります。
それぞれの波の原則を元に、いくつかの波のパターンを想定しておき利用するのが良いかと思います。
後はエリオット波動の波のリズムのみでのエントリーですと、なかなか勝率を上げていくのは難しいかと思います。
サイクル理論や水平線など他の要素も組み合わせての利用が良いかと思います。
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