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【書評】『FX戦士くるみちゃん 5巻』——熱狂と破滅が交錯する、戦慄の“相場地獄”編


物語は“別の漫画”へと突入?不穏な空気と重すぎる現実

『FX戦士くるみちゃん』第5巻を読み終えたとき、思わず息を呑みました。

「まるで別の漫画が始まったかのような始まり方」――これは多くの読者が抱いた感想だと思います。

これまで主人公として描かれていた、くるみの出番がほとんどなく、前半の主役はまさかの萌智子。

しかも舞台は2006年、FXという言葉すら一般には浸透していなかった時代です。

しかし、この“過去編”は決して蛇足ではありませんでした。

むしろ、萌智子というキャラクターの軸が明確になり、この漫画全体の重みを一段階引き上げる重要なエピソードとなっています。

萌智子の覚醒と「芽吹スタイル」——静かな狂気の始まり

「買い突 芽吹スタイルッ」――この言葉の軽快さとは裏腹に、芽吹の取引は、見ていて胃が痛くなるようなものばかり。

彼女は耐え難きを耐え、忍び難きを忍びながらロングポジションを持ち続けます。

追い打ちをかけるように、実は萌智子もロングを持っていたことが判明し、読者の多くは戦慄を覚えたのではないでしょうか。

そして、ドル円は120円を突破。

これはもう、誰もが「終わった」と思った瞬間だったでしょう。

強引に勝ちを引き寄せる芽吹たちの姿は、投資の本質――つまり、欲望と恐怖のせめぎ合い――を赤裸々に描いています。

くるみ、狂気の“300枚ショート”へ

5巻の後半では、ようやく「くるみ」が登場します。

ロングで爆益を得て口座残高は2000万円に到達。

そして彼女が次に選んだ手は、税金対策を口実にした300枚のショート。

これはもはや戦略ではなく“破滅への誘い”でしかありません。

「ついにくるみちゃんも破滅の道を歩んでしまったか?」という読者の不安が的中するのかどうか、結末は6巻へと持ち越されますが、この5巻はその大きな“地ならし”として、圧倒的な迫力を持っています。

やす子の存在感と、くるみの失われた引き際

やす子は今巻でも主人公的な存在感を放ちます。

むしろ彼女の言動は、まるで少年漫画のヒロインのよう。

自分の力で道を切り開こうとするその姿は、読者に希望を抱かせます。

対してくるみは、当初持っていた「目標」や「引き際」の感覚をすっかり見失っており、その対比が本当に痛々しい。

これはただのギャグ漫画ではありません。

人間の欲と狂気を映し出す“投資の地獄絵図”なのです。

読後の感想:啓発本よりも刺さる“リアルな中毒性”

FXにおける「快感」と「絶望」のジェットコースターのような落差。

これを読んだとき、私は思いました。「これは啓発本よりも有能だ」と。

FXの本質を、これほどまでに人間臭く、そして痛烈に描いた作品は他にないと思います。

「ドーパミンの放出」「口座残高の爆増」「税金という落とし穴」――読者はきっと、自分がもしこの立場だったら…と何度も想像し、恐ろしくなるでしょう。

結論:5巻は転換点、そして破滅のプロローグ

『FX戦士くるみちゃん』5巻は、シリーズの中でも特に重く、濃密な一冊です。

萌智子という“軸”が強化され、キャラクターたちの運命がよりシリアスに交錯していくその様は、読み応え抜群。

そして、くるみの300枚ショートがどうなるのか…続きを読まずにはいられません。

FXという世界の過酷さと人間の心理のリアルが詰まった一冊。

興味を持った方は、ぜひ5巻を読んでみてください。

そして気づいた時には、あなたも“くるみちゃんワールド”の虜になっているかもしれません。


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