
FXで「買い」や「売り」のエントリーをしている時に、たまに「ダマシ」と呼ばれるものに遭遇することがあります。
「ダマシ」とはどういうものなのでしょうか? 回避する方法は? 見極める方法は? そして「ダマシ」を利用する手法はあるのか?
解説していきたいと思います。
「ダマシ」とは?
「ダマシ」とはテクニカル分析において、通常の思惑の方向と逆の方向へ行ってしまうことをいいます。
「ダマシ」の例1

上記の図の青丸に注目です。赤で示した水平線は相場の節目であるサポートラインとレジスタンスラインを表わしています。
下のラインを割ったため、今後下降を予想し「売り」を行った人が多いと思われます。
つまりサポートラインを割ったため、黒点線のような動きを想定したと思います。
ですがその予想に反して相場は戻っていってしまいました。これは下降すると思ったら上昇していったパターンとなります。
「ダマシ」の例2

こちらは先ほどと逆で、上昇を予想していたら下降してしまったという例となります。
ダウ理論で言う所の高値、安値を徐々に切り上げて上昇をしております。そして注目するポイントは青丸の所となります。
ここは前回高値を上抜けしましたので、普通ですと「買い」を検討する場面かと思います。
そして実際には黒点線の動きを予想し「買い」を行った方が多いかと思います。
ですが、予想に反して下降してしまいました。これは上昇すると思ったら下降してしまった例となります。
「ダマシ」の「ダマシ」パターンもありうる

「ダマシ」の「ダマシ」というかなり面倒くさいパターンも存在します。
これは上記のように赤線で示した節目を上抜けした青丸部分に注目ですが普通は、その後の上昇を予想すると思います。
ただ予想に反して下降してしまいました。
このまま下降するのかと思っていたら黄色丸の所で反転をして、また上昇してしまったというパターンです。
短時間に2回以上「ダマシ」の起こるパターンとなります。
「ダマシ」の例をチャートで確認!
下降すると思っていたら上昇してしまったパターンのチャート例

赤線で示したサポートラインを青丸の所で下抜けをしました。
過去に2~3回止められていたポイントを下抜けしたため、そのまま下降を予想した方が多いかと思います。
ですが予想に反して、赤矢印で示したように急激に上昇をしてしまったチャート例となります。
上昇すると思っていたら下降してしまったパターンのチャート例

こちらは先ほどと逆のパターンです。ダウ理論で説明される高値と安値を切り上げている状態です。
そして上の赤線をを青丸の所で上抜けしましたので、このまま上昇を予想した方が多いかと思いますが、予想に反して大幅に下降してしまいました。
これが上昇すると思っていたら下降してしまったチャート例となります。
「ダマシ」の「ダマシ」パターンのチャート例

赤の水平線が2本引いてありますが、しばらくはこの水平線内、つまり同じようなところをウロウロしていました。
①で示した黄色矢印のように水平線を超えて、しかも一度押し目を形成しそのまま上昇していくような動きを見せていました。
ところが、その後は②で示したように大幅な下落となり「買い」を行っていた人は大半損切りを行ったと思われます。
大半の人の損切りで決裁のための「売り」と、その後の下落を期待しての通常の「売り」を行った人がいたため、通常の「売り」のみのチャートの動きより大きな動きを見せたと予測できます。
この下落を見て、今後は下降トレンドに入るのだろうと予想した方が多いかと思いますが、③の矢印で示したように、またまた反転をしてしまいレンジ内に戻ってしまったという例です。
この例の場合は②の「売り」で利益になったかとは思いますが、この下降の動きも少ししかなく、すぐに反転をしてしまうということも多く「ダマシ」の「ダマシ」は非常に厄介です。
「ダマシ」後に伸びる理由

ダマシの解説のチャート例で示したものを使用して説明したいと思います。
まず2~3回サポートをされた赤の水平線を青丸の辺りで下抜けをしました。この場面で大半の方はサポートを割ったと判断し「売り」を行った人が多いかと思います。
ところが予想に反して上昇をしていきました。この場面で「売り」を行った大半の人は、びっくりしているはずです。
「予想と反対に行ったよ~ダマシだよ~」と。
そこで大半の人は「売り」ポジションをを決済するために損切りの「買い」を行います。
そして「ダマシ」がなかった時のようなレンジ内に戻ったのですが、多くの人が売りを決裁したのと、その後の上昇を予想し「買い」を行った人も多いと思われるため、通常より勢いよく上がっていくことがあります。
これが「ダマシ」の後に伸びる理由となります。
「ダマシ」の発生メカニズム
大口投資家の影響
ダマシが起こる理由としてよく言われるのが、大口の投資家は一般の投資家よりかなり多くのポジションを持ちます。
FXはゼロサムゲームとも表現されるため「買い」「売り」のバランスが保たれていなければ成り立ちません。
誰かが「買い」を行っていれば同じだけの「売り」を行う人もいなければ成り立たないわけです。
つまり大口が取引を行う際には大量のポジションに見合った反対売買も存在しなければなりません。
よって一度、一般の投資家に損切りを食らわして、その後に思惑の方向へ持っていくというような動きをねらうと言われています。
そのために一時テクニカル分析とは違う動きを見せるようです。
注文の集中
多くのトレーダーは、チャートに描かれた特定の価格レベル、例えばサポートやレジスタンスといったラインに注目します。
この価格レベルに市場が近づくと、たくさんのトレーダーが同じような取引を考え、その結果、その価格付近での取引が集中します。
この集中した取引が市場の流動性を低下させることが考えられます。
つまり、大量の取引が一つの価格レベルに集まると、市場が動きにくくなり、小さな取引でも大きな価格の変動が起こりやすくなります。
これが「ダマシ」が生まれる一因となっています。
テクニカルパターンの影響
チャート上で特定のテクニカルパターンが形成されると、トレーダーが注目し、取引を行うことがあります。
このようなテクニカルパターンが価格に影響を与え、ダマシが発生することがあります。
「ダマシ」の少ない通貨ペアは存在するか?
基本的には上下の動きがあまりない、つまりボラティリティの低い通貨ペアですと「ダマシ」は少なくなるかと思います。
ただこれは絶対というわけではなく、どの通貨ペアを選んでも「ダマシ」は存在するものと思われます。
あとは取引量の少ない通貨ペアの場合、一部の大口投資家の影響で「ダマシ」が起こりやすいと考えられなくもないですし、取引量が少ないということはほとんど動かないということですので「ダマシ」は起きにくいとも考えられます。
ですが株取引の場合はこのような考えができますが、FXの場合は世界中で取引されているため取引量がかなり多いため同じようには考えられないと思います。
一般的には「ドル円」「ユーロドル」などは取引量が圧倒的に多いことで有名です。
特に「ドル円」はボラティリティがさほど高くなく、かつ取引量も多いことから一部の投資家の動きに惑わされることがほとんどないと思われるため、他の通貨ペアに比べると「ダマシ」は少なくなる傾向にあるのではないかと考えられます。
「ダマシ」の少ない時間帯は?
これに関しても絶対的なものは存在しません。例えば日本時間の場合は動きがほとんどないことから上下の動きがほとんどないため「ダマシ」は起きにくいように感じます。
ただ取引量が少ない時間帯は、一部の大口の影響で「買い」「売り」どちらかに傾く可能性も否定できません。
そうしますと取引量の少ないと言われている時間帯でも油断はできないこととなります。ただこのテーマの結論としては、あまり動かない日本時間辺りが「ダマシ」が少ないと思われます。
では取引量の多い時間帯はどうでしょう?
ロンドン時間、アメリカ時間などの取引量の多い時間帯となると、一部の大口の動きに惑わされる心配は少なくなりますが、ボラティリティの大きい通貨ペアの場合は上下の動きに振り回され、「ダマシ」に合う可能性も高くなるかと思われます。
よってどの時間帯でも「ダマシ」の危険性はあるものと認識をしておいた方が良いです。
FXの場合、相場が動かないことには利益になりませんから、普通は良く動くと言われているロンドン時間やアメリカ時間にトレードをする方が良いかと思います。
つまり「ダマシ」を避ける時間帯を探していると、動かない時間をねらうことになりそうですから利益にもつながらないように思えます。
「ダマシ」を回避するには?
飛び乗りをやめる
1つ目に考えられるのが、飛び乗りをやめるということです。
急激にどちらかに動いたという理由だけで飛び乗ってしまうと、ヒゲで駆られて反対方向へ伸びてしまったということになりかねません。
押し目、戻り目を待つ
2つ目として押し目、戻り目をしっかりと待つということです。
もちろん押し目、戻り目を待ってもダメな時もありますが、飛び乗りを行うよりかは勝率は上がるはずです。
大きな流れに乗る
3つ目として、大きな流れに乗るということが挙げられます。
小さな上下の動きを追いかけていると少しのラインブレイクでエントリーをした結果、上下の動きに振り回され損切りが連続するということになりかねません。
ですが大きな時間足の動きについていくトレードをしていれば、多少の「ダマシ」に振り回される心配も少なくなるかと思います。
エントリータイミングを遅らせる
「ダマシ」を想定して、今までよりエントリータイミングを遅らせてみるのも良いと思います。
このことにより「ダマシ」を利用して大きく利益を取れる可能性があります。
エントリーを小分けにする
一度に大きな金額でエントリーをしてしまうと「ダマシ」に合った時に、損失が大きくなります。
エントリーを小分けにすることにより、リスクが分散できます。
相互関係にある通貨ペアも確認する
少し分析は難しくなりますが、相互関係にある通貨ペアを参考にするのも良い方法です。
「ダマシ」が起こるということは、通常と違う動きをするということですので、相互関係にある通貨ペアにも何かしらの変化が起こるのかを確認するのも良いと思います。
複数のテクニカル指標を利用する
複数のインジケーターやラインを見るのも良いかと思います。
この場合、たくさんのインジケーターを見るという意味ではなく、インジケーター、ライン、チャートパターンなどを組み合わせて見るということです。
インジケーターを複数表示させた場合には、判断に迷うことが多くなりますので、おすすめできません。
「ダマシ」を利用する手法
鉄板パターン

「ダマシ」の「ダマシ」パターンなど短い時間で2回以上「ダマシ」が続く場合は、動きが全く読めないため損切りをするのが良いかと思います。
ただそうでない場合の例として上記チャートを使用して説明してみます。
このチャートは以前説明したように高値、安値を同時に切り上げており、ダウ理論で言う所の上昇トレンドを形成していると判断できるかと思います。
ところが青丸で示したように前回最高値を上抜けしたため上昇トレンド継続と判断した人が多いかと思うのですが、予想に反して下落を始めてしまいました。
この場合は「ダマシ」の起こる仕組みで説明したように大幅に下降をしていく可能性が高くなります。
よって「売り」をねらってみるのも良いかとは思います。
ただ「ダマシ」の対策の所で説明したように飛び乗りはいけません。
また再び上昇していく可能性も否定できないからです。よって一度戻り目を待った黄色丸、ピンク丸辺りでの「売り」エントリーが良いかと思います。
特にピンク丸の所は前回サポートラインとして機能していたラインで、ここを背にして、さらに戻り目を確認しての「売り」エントリーとなるため、こちらの方が良いかと思います。
あえて「ダマシ」が出るまで待ってみる
次に紹介するのは「ダマシ」が出るまで敢えて待ってみるという手法です。

一例ですが、上記の黒線のように価格が推移していたとします。
黄色丸の所が節目となり下落をしました。
そこを基準に赤線で水平線を引いています。
そして赤線付近で次にどういう動きになるかを観察しています。
そうした所、茶色丸で示したように赤線を突破してしまいました。
ここで前回の節目を抜けたため「買い」を行った人が多いと思います。
ところが再下降を始めてしまい、多くの方は損切りに合いました。
「ダマシ」です。
大半の方の決済のための「売り」が入ったため、今後勢いよく下降していくことが考えられます。
敢えてこれを待ってみるのです。
そして安全に行くために緑線で示した節目を下抜けした辺りでエントリーをします。
赤丸か青丸が候補です。
一度戻り目を待った方が良いと思われますので、おすすめは青丸でのエントリーとなります。
まとめ
「ダマシ」にはいくつかの種類があり、テクニカル分析において通常の動きとは異なる動きを見せることをいいます。
上昇かと思ったら下降をしてしまう、下降かと思ったら上昇をしてしまう、レンジブレイクしたと思ったらレンジ内に戻ってしまうなどがあります。
さらに厄介なのが、上昇かと思ったら下降し、その後すぐ位にまた上昇という「ダマシ」の「ダマシ」というパターンも存在します。
これに関しては損切りを徹底して、しばらく様子見をするのが良いかと思います。
ですが基本的に一回「ダマシ」が起きるとその方向へ大きく動くことが多いため、その動きを利用して利益を取るという手法も紹介しています。
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