
原油価格が再び大きく動いています。
2026年9月28日の終値は、Brent原油が1バレル=105.28ドル、WTI原油が92.60ドルでした。Reuters
ここまで価格が上がると、
「まだ100ドルを超えて上がるのか?」
それとも、
「2027年には70ドル、60ドル台へ戻るのか?」
が気になるところです。
現在の原油市場は、単純に「景気が良いから上がっている」という状況ではありません。
中東からの原油供給、ホルムズ海峡、米国とイランをめぐる情勢、世界の原油在庫など、複数の材料が重なっています。
そこでこの記事では、2026年9月末の状況を出発点として、2026年末までと2027年の原油価格がどう動く可能性があるのかを考えていきます。
EIA(米国エネルギー情報局)やIEA(国際エネルギー機関)のデータに加え、現在の価格と需給環境をAIで整理し、3つのシナリオに分けて予測します。
もちろん、未来の価格を正確に当てることはできません。
大切なのは一つの数字を信じることではなく、何が起これば予測が変わるのかを知っておくことだと考えています。
結論|2026年末は高値圏、2027年は下落方向をメインに予測
先に結論からお伝えします。
2026年末までは、中東からの供給が完全には戻らず、原油価格は比較的高い水準を維持する可能性があります。
一方、2027年に中東の生産・輸出が正常化していけば、年後半に向けて価格が下がっていく展開をメインシナリオと考えます。
今回の予測は次のイメージです。
| 期間 | WTIの想定レンジ | Brentの想定レンジ | 見方 |
|---|---|---|---|
| 2026年末まで | 80~100ドル | 90~110ドル | 供給不足が価格を支えやすい |
| 2027年前半 | 70~90ドル | 75~95ドル | 供給回復の進み方が焦点 |
| 2027年後半 | 60~75ドル | 65~80ドル | 在庫回復なら下落しやすい |
※この価格帯はEIA・IEAのデータと2026年9月末の市場環境をもとに、この記事で設定したシナリオです。将来の価格を保証するものではありません。
参考になるのがEIAの予測です。
EIAはBrent原油について、2026年10~12月平均90.66ドル、2027年1~3月84.90ドル、4~6月77.00ドル、7~9月70.03ドル、10~12月63.94ドルと予測しています。エネルギー情報局
つまりEIAも、
2026年末までは比較的高値 → 2027年にかけて徐々に下落
という流れを想定しています。
ただし、9月28日時点のBrentは105ドルを超えています。
EIAの予測が作成されたのは9月3日です。エネルギー情報局
そのため、90.66ドルや63.94ドルという数字だけを見て「ここまで下がる」と決めつけるのではなく、今後の中東情勢を確認しながら判断する必要があります。
2026年9月末の原油価格はなぜ高い?
Brentは105ドル、WTIは92ドルまで上昇
2026年9月28日、Brent原油は105.28ドル、WTI原油は92.60ドルで取引を終えました。
この日の原油価格は、米国がイラン側から提示された和平案を拒否したことで一時4ドル以上上昇しました。
その後、カタールによる仲介交渉への期待が出ると上昇幅を縮小しています。Reuters
つまり現在の原油価格は、通常の経済指標だけで動いているわけではありません。
交渉が進むというニュースが出れば下がる。
交渉が難航すれば上がる。
中東情勢にかなり敏感な相場になっています。
ホルムズ海峡が最大の焦点
特に重要なのがホルムズ海峡です。
紛争が始まる前には、世界の原油供給量のおよそ2割に相当する約2,000万バレル/日がホルムズ海峡を通過していました。Reuters
原油そのものが地下から出てきても、タンカーで運べなければ世界市場には届きません。
そのため現在は、
「原油をどれだけ生産できるか」だけでなく、「どれだけ輸出できるか」
を見る必要があります。

中東からの原油供給は回復している
ここは、現在の原油を考えるうえで非常に重要です。
原油供給には問題が残っていますが、悪化し続けているわけではありません。
ReutersがKplerのデータを基に報じたところでは、中東からの原油輸出は2026年9月に約1,633万バレル/日まで回復しました。
8月より大きく増えています。
ただし、紛争前の2月は約1,951万バレル/日でした。
まだ300万バレル/日以上少ない計算です。Reuters
つまり現在は、
「供給が回復している」ことと、「まだ供給不足である」ことが同時に起きています。
この2つをどちらか一方だけ見てしまうと、原油相場を読み違えやすくなります。
私は、2026年末までの原油価格を見るなら、この供給量が今後も増えていくかを最優先で確認したいと考えています。
2026年末までの原油価格を左右する4つの材料
米国・イラン情勢とホルムズ海峡
一番大きな材料は、やはり中東情勢です。
米国とイランの交渉が進み、ホルムズ海峡を通る船舶が増えていけば、現在の原油価格に含まれている供給不安は徐々に薄れていくでしょう。
反対に交渉が決裂し、タンカーや石油施設への攻撃が再び激しくなれば、100ドルを超える状態が長期化する可能性があります。
2026年末までは、経済指標以上にニュース一つで価格が大きく動く場面がありそうです。
OPEC+と中東産油国の供給
次に見るのが産油国の供給量です。
ただし、
「増産=原油安」
と単純に考えることはできません。
現在は輸送ルートそのものが問題になっているからです。
たとえ生産できても、それを市場へ運べなければ供給不足は解消しません。
そのため今後は、生産量だけではなく実際の輸出量を確認することが重要になります。
世界の原油在庫
もう一つ見逃せないのが在庫です。
EIAは、2026年に入ってから世界の原油在庫が約4億バレル減少したと推計しています。
さらに2026年10~12月についても、世界在庫が平均170万バレル/日のペースで減少すると予測しています。エネルギー情報局
IEAも、紛争開始以降の世界の確認可能な石油在庫が5億700万バレル減少したとしています。IEA
在庫が十分なら、一時的な供給障害が起きても対応できます。
しかし在庫まで減ってくると、少しの供給トラブルでも価格が上がりやすくなります。
現在の原油価格がなかなか下がらない理由の一つがここにあります。
世界景気と原油需要
供給だけでなく需要も確認しておきたいところです。
IEAは、2026年の世界の石油需要が前年比250万バレル/日減少すると予測しています。
一方、2027年には260万バレル/日の回復を見込んでいます。IEA
「2027年に需要が増えるなら、原油も上がるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし価格は需要だけでは決まりません。
それ以上に供給が回復すれば、需要が増えていても価格が下がることがあります。
2027年は、まさにその需給バランスがポイントになりそうです。
AIが予測する2026年末の原油価格
メインシナリオ|WTI80~100ドルを中心に推移
私が2026年末までのメインとして考えているのは、
「中東からの供給は徐々に増えるものの、年内には完全正常化しない」
というシナリオです。
この場合、WTIは80~100ドル、Brentは90~110ドル程度を中心に推移すると予測します。
EIAも2026年10~12月平均について、WTI85.98ドル、Brent90.66ドルを予測しています。エネルギー情報局
9月28日の価格から見ると下落する予測ですが、それでも過去と比較すれば決して安い価格ではありません。
100ドルを超えている現在から、供給回復とともに少しずつ価格が下がっていく。
これが現時点では最も考えやすい流れです。
上昇シナリオ|100ドル超がさらに続くケース
一方、予測より高くなる可能性も十分あります。
ホルムズ海峡の通航量が再び減少する、中東の石油設備が攻撃される、代替輸送ルートにも障害が出る、といったことが起これば供給不足が悪化します。
さらに世界の原油在庫まで減り続ければ、価格を抑えるのは難しくなるでしょう。
こうなると、WTI100ドル超、Brent110ドル超が続く展開も考えておく必要があります。
ここで重要なのは、
「一瞬120ドルまで上がったか」ではなく、「100ドル以上が何週間も続くのか」
です。
瞬間的な急騰と、長期的な高値定着は分けて考えたほうがよいでしょう。
下落シナリオ|WTI80ドルを下回るケース
反対に下落が早まるとすれば、米国とイランの交渉が進み、ホルムズ海峡の通航が正常化していく場合です。
中東からの輸出が増え、世界の在庫減少まで止まれば、現在の価格に含まれている供給不安はかなり後退します。
その場合、WTIが80ドルを割り込み、Brentも90ドルを下回る可能性があります。
ただし、ニュースだけを見て判断するのは早いと思います。
和平交渉が始まったとしても、実際の輸出量や在庫が増えていなければ、需給そのものは改善していないからです。
2027年の原油価格はどうなる?
2027年前半|供給正常化が最大の分岐点
2027年に入ると、注目点は少しずつ変わるでしょう。
「戦争や交渉がどうなるか」だけでなく、
実際に原油の生産と輸出がどこまで戻ったのか
が重要になります。
EIAは、中東からの生産・貿易の大部分が紛争前の水準へ戻るには2027年第2四半期までかかると予測しています。エネルギー情報局
そのためEIAのBrent予測も、2027年1~3月84.90ドル、4~6月77.00ドルと段階的に低下しています。エネルギー情報局
私も2027年前半は、一気に60ドル台まで下がるというより、
供給回復を確認しながら徐々に価格水準を切り下げる
展開をメインに考えています。
WTI70~90ドル、Brent75~95ドル程度をひとつの目安とします。
2027年後半|原油は60~70ドル台まで下がる?
2027年後半になると、EIAの予測はさらに弱気になります。
Brentは7~9月平均70.03ドル、10~12月平均63.94ドル。
WTIはそれぞれ66.03ドル、59.94ドルです。エネルギー情報局
9月28日のBrent105ドル台から考えると、かなり大きな下落です。
「本当にそこまで下がるのか?」
と思うのも自然でしょう。
ここで重要なのは、EIAが単に「原油は高すぎるから下がる」と考えているわけではない点です。
中東の停止していた生産が回復し、世界の原油在庫が再び積み上がることを前提にしています。
EIAは、2027年後半には停止していた生産の多くが復旧し、世界在庫も増加へ転じると見込んでいます。エネルギー情報局
この前提が実現するなら、現在の100ドル超という価格を維持する理由はかなり薄くなります。
そこで私は2027年後半について、WTI60~75ドル、Brent65~80ドル程度を中心に考えています。
ただし、これは「2027年に必ず60ドル台まで下がる」という意味ではありません。
中東情勢が再び悪化すれば、このシナリオは簡単に崩れます。
原油価格の予測が上方向へ外れる条件
2027年まで含めても、原油価格の最大の上振れリスクは地政学です。
米国とイランの対立再燃、ホルムズ海峡の通航障害、中東の石油施設への攻撃、ロシアからの供給減少などが重なれば、供給正常化という前提そのものが崩れます。
そうなれば、
「2027年だから原油は下がる」
とは言えなくなります。
反対に、和平が進み、中東の輸出と生産が予想以上の速さで回復すれば、価格の下落もEIA予測より早まる可能性があります。
今後の原油予測では、価格そのもの以上に予測の前提が維持されているかを確認することが重要です。
チャートでは90ドル・100ドル周辺に注目
ファンダメンタルだけでなく、実際にトレードするならチャートも確認したいところです。
9月28日時点でWTIは92.60ドルです。Reuters
現在の位置から考えると、まず意識したいのが90ドル前後です。
90ドル台を維持できる間は、供給不安を背景とした高値圏が続いていると考えやすくなります。
一方、90ドルを明確に割り込み、その後も戻せないようなら、供給回復を織り込み始めた可能性を考えます。
反対に100ドルを超えて定着すれば、上昇シナリオをもう一度強める必要があるでしょう。
ただし、
「100ドルを超えたから買う」
「90ドルを割ったから売る」
と価格だけで判断するのは危険です。
中東情勢と原油輸出量を合わせて確認したいところです。
原油価格を見るならカナダドルにも注目
原油を見ていると、FXにもつながる通貨があります。
カナダドルです。
カナダは主要な産油国の一つなので、原油価格の変化がカナダ経済やカナダドルへ影響することがあります。
もちろん、
「原油上昇=必ずカナダドル上昇」
ではありません。
カナダと米国の金利、米ドルの動き、世界景気なども影響します。
それでもCAD/JPYを取引するのであれば、原油を一緒に確認しておくと相場の背景が分かりやすくなります。

原油CFDを取引するときは予測とエントリーを分けて考える
ここまで2026年末から2027年までを予測してきましたが、長期予測と実際の売買は別です。
例えば、
「2027年後半はWTI60~75ドルを予測している」
からといって、
「現在92ドルだから売ればよい」
とはなりません。
その途中で110ドルまで上昇する可能性もあります。
特に現在の原油市場は、一つのニュースで数ドル動くことがあります。
長期予測は相場の方向を考える材料。
実際にエントリーするときは、その時点のチャートや値動きを確認する。
この2つは分けて考えたほうがよいでしょう。
チャートを見る場合も、まず日足で大きなトレンドを確認し、次に4時間足、最後に1時間足という順番で見ていくと、短期的な値動きだけに振り回されにくくなります。
原油CFDをMT5で分析・取引したい方は、「FXTF MT5の特徴・MT4との違い」も参考にしてください。

まとめ|2026年末~2027年は「供給がどこまで戻るか」がポイント
2026年9月28日時点では、Brent原油が105.28ドル、WTIが92.60ドルと高い水準にあります。
背景にあるのは、中東からの供給不足とホルムズ海峡をめぐる不安です。Reuters
一方、中東からの原油輸出は回復し始めています。
9月の輸出量は約1,633万バレル/日まで増えましたが、紛争前の約1,951万バレル/日にはまだ届いていません。Reuters
そのため現時点では、
「供給不足は続いている。しかし正常化へ向かう動きも始まっている」
という見方が一番近いと思います。
今回のメインシナリオでは、2026年末までWTI80~100ドル、2027年前半70~90ドル、2027年後半60~75ドル程度を想定しました。
しかし、本当に見るべきなのはこの数字そのものではありません。
ホルムズ海峡を通る原油量が増えているか。
中東の生産量が戻っているか。
そして世界の原油在庫が増加へ転じたか。
この3点がそろえば、2027年に向けた下落シナリオの確度は高くなります。
反対に供給が再び止まれば、予測レンジは上方向へ見直す必要があります。
AI予測だからといって、一度出した数字を最後まで信じる必要はありません。
相場環境が変わったら、その時点のデータを使って予測も変える。
原油のように地政学の影響を強く受ける相場では、そのくらい柔軟に考えたほうが現実的だと思います。



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