
ドル円が160円を超えてくると、どうしても気になるのが「170円」という数字です。
「このまま円安が続けば、本当に1ドル170円まで行くのでは?」
そう考える人もいると思います。
実際、2026年7月にはドル円が40年ぶりの円安水準となる164円近くまで上昇しました。政府による為替介入への警戒が強まるほど、円安が進んだ時期もあります。
ただ、最初に結論をお伝えしておきます。
現時点で、私は170円を基本シナリオとは考えていません。
一方で、「170円なんて絶対にあり得ない」と言い切れる状況でもありません。
みずほリサーチ&テクノロジーズは、財政への懸念が拡大した場合のリスクシナリオとして、ドル円が170円程度まで円安になる可能性を示しています。
野村総合研究所も、円安に歯止めがかからない場合の悪いケースとして170円程度に言及しています。
では、何が起きれば170円が現実味を帯びるのでしょうか。
この記事では、「170円になる」と予言するのではなく、170円まで円安が進むために必要な条件をAIで整理し、一つずつ検証していきます。
2026年末までのドル円全体の見通しについては、こちらの記事で詳しく分析しています。

【結論】1ドル170円はあり得る?AIの判断
AIで現在のドル円相場を整理すると、170円は基本シナリオではなく、複数の円安材料が重なった場合のリスクシナリオと考えるのが妥当です。
特に確認したいのは次の5つです。
| 170円に近づく条件 | ドル円への影響 |
|---|---|
| 163~164円の高値圏を明確に突破 | 円安加速を警戒 |
| FRBが高金利を長く維持 | ドル高要因 |
| 日銀の追加利上げが進まない | 円安要因 |
| 為替介入後も163~164円台へ戻る | 円安基調の強さを示す |
| 日本の財政・インフレ懸念が強まる | 円売り要因になり得る |
どれか一つが起きただけで170円になるわけではありません。
重要なのは、複数の条件が同時に重なってくるかです。
たとえば、
164円を突破
+
米国の高金利が続く
+
日銀が追加利上げに慎重
+
為替介入後も円安へ戻る
という展開になれば、170円を意識する必要性はかなり高くなります。
逆に、164円を超えられず、日米金利差が縮小するなら、170円シナリオは遠のきます。
なぜ「ドル円170円」が意識されるようになった?
以前なら「1ドル170円」と聞くと、かなり極端な予想に感じたかもしれません。
しかし2026年は、そうとも言い切れなくなりました。
2026年にはドル円が164円近くまで上昇した
2026年7月にはドル円が164円近くまで上昇し、約40年ぶりの円安水準となりました。
つまり170円は、
現在の水準から何十円も離れた非現実的な数字
ではありません。
だからこそ、
「164円を突破したら、その次は170円なのか?」
という疑問が出てきます。
ただし、ここで一つ注意したいことがあります。
164円まで上がった事実と、170円まで上がることは別です。
164円付近では政府の為替介入への警戒も強まり、その後は実際に大きな円高が起きました。
170円を考えるなら、「あと数円」という距離より、その間にある金融政策や介入を確認する必要があります。
シンクタンクや金融系調査機関も170円をリスクシナリオとして取り上げている
170円という数字は、SNSだけで語られている極端な予想でもありません。
みずほリサーチ&テクノロジーズは2026年3月、財政への懸念が拡大した場合、
ドル円が1ドル170円程度まで円安になる可能性
をリスクシナリオとして示しました。
ただし、同社のメインシナリオは170円ではありません。財政への懸念が大きくならなければ、150円台を中心とする見通しを示しています。
野村総合研究所も7月、円安に歯止めがかからない「悪いケース」として170円程度に言及しています。
つまり、
専門機関が170円と言っているから170円になる
という話ではありません。
「条件次第では170円も想定しておく必要がある」
という位置づけです。
この記事でも同じ考え方を取ります。
ドル円が170円になる5つの条件
ここからがこの記事で一番重要な部分です。
170円になるかどうかを見るなら、私は次の5つを確認します。
① 163~164円の高値圏を明確に突破する
まず分かりやすいのがチャートです。
以前の予測では、
160円を突破すれば170円を目指す
という考え方をしていました。
しかし、2026年にはすでに160円を突破し、164円近くまで上昇しました。
そのため、現在は160円ではなく163~164円付近を重要な境界線として見た方がよいでしょう。
ただし、一瞬164円を超えただけでは判断しません。
私なら、
- 164円を明確に上回る
- その後の下落でも160円台を維持する
- 高値と安値の切り上げが続く
といった動きを確認します。
逆に164円を付けるたびに大きく売られるのであれば、まだ170円への壁は厚いと考えます。

※ドル円日足チャート
- 154円(黄色線)
- 158円(黄色線)
- 160円(黄色線)
- 164円(赤線)
- 170円(赤線)
重要価格帯を見るときは、日足だけでなく4時間足や1時間足へ切り替え、水平線を引いて値動きを確認すると分かりやすくなります。
FXTFのMT4では、複数時間足や水平線、移動平均線などを使ったチャート分析ができます。

② FRBが高金利を長期間維持する
次に米国側です。
FRBは2026年9月16日のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ、3.75~4.00%としました。
FRBは、米国経済は堅調に拡大している一方、インフレは依然として高いと説明しています。
今後もインフレがなかなか下がらず、
- 追加利上げ
- 高金利の長期化
が意識されれば、ドルを支える材料になります。
一方、米国のインフレが落ち着き、FRBが利上げを終える方向へ動けば、ドル高圧力は弱まりやすくなります。
170円を考えるうえでは、
米国の金利がどこまで上がるかだけでなく、高い状態がどれだけ続くのか
を見る必要があります。
③ 日銀の追加利上げが進まない
日本側では、日銀が9月18日に金融市場調節方針を変更しました。
日銀は無担保コール翌日物金利を1.25%程度で推移するよう促す方針を示しています。
日本の金利が上がれば、
円が買われてドル円は下がる
と考えたくなります。
しかし為替市場が見るのは、今回の利上げだけではありません。
その次も利上げするのか
が重要です。
日銀が追加利上げを続ければ、米国との金利差は縮まりやすくなります。
反対に、
1.25%まで上げたものの、この先は慎重
という見方が広がれば、円安材料が残ります。
つまり②と③が同時に起き、
FRBが高金利を維持
+
日銀が追加利上げを進めない
となれば、日米金利差が再び拡大する方向へ向かい、170円シナリオを強める可能性があります。
④ 為替介入後も163~164円台へ戻る
私は、この条件もかなり重要だと思っています。
2026年7月末、ドル円が40年ぶりの円安水準まで上昇する中、日本と米国は円買い介入を実施しました。
財務省は8月3日、米国東部時間7月31日に米財務省と協調して円買い介入を行ったと正式に発表しています。
介入後、円は大きく上昇しました。
ここで重要なのは、
介入があったこと
だけではありません。
その後です。
仮に介入によって大きく円高になったにもかかわらず、数週間・数か月後に再び163~164円台まで戻ってくるなら、
円安方向の力がかなり強い
と考えることができます。
逆に介入後の高値が、
164円
↓
160円
↓
158円
と切り下がっていくなら、170円シナリオは遠のきます。
⑤ 日本の財政・インフレへの懸念が強まる
最後は、日本の財政や物価への市場の評価です。
実際に見るべきなのは、
- 財政拡張への懸念
- 国債市場への不安
- 期待インフレ率
- 海外資産への資金流出
- 貿易・サービス収支
などです。
みずほリサーチ&テクノロジーズは、財政への懸念が拡大すると長期金利が上昇しても円高にならず、むしろ円安が加速する「悪い金利高」のリスクを指摘しています。
そのケースでは、ドル円が170円程度まで上昇する可能性も示されています。
ここは少し分かりにくいところです。
普通なら、
日本の金利が上がる
↓
円が買われる
と考えます。
しかし金利が上がった理由が、
日本経済が強いから
ではなく、
財政への不安から日本国債が売られたから
だった場合、円安と金利上昇が同時に進む可能性があります。
170円を考えるうえでは、この違いにも注意が必要です。
為替介入で170円は止められる?
「170円になる前に、また政府が介入するのでは?」
と思う人も多いでしょう。
実際、2026年には日米による協調介入が行われました。
7月末にはドル円が大きく変動し、その後、財務省は米国東部時間7月31日に米財務省と協調して円買い介入を実施したことを正式に発表しています。
為替介入は短期的に大きな影響を与える
2026年の介入後、円は短期間で大きく上昇しました。
したがって、
為替介入は意味がない
と考えるのは適切ではありません。
数円単位でドル円が動く可能性があり、高いレバレッジで取引している場合には非常に大きなリスクになります。
ただし介入だけで長期方向が決まるわけでもない
一方で、
介入したから絶対に170円にならない
とも言えません。
介入後も、
- FRBが高金利を維持
- 日銀が追加利上げに慎重
- 日米金利差が大きい
- 財政への懸念が続く
といった状況なら、再び円安へ戻る可能性があります。
ですから、介入そのものより、
介入後にドル円がどこまで戻るか
を見る方が重要です。
過去の為替介入でドル円が実際にどの程度動いたのかについては、2022年・2024年・2026年をこちらの記事で比較しています。

逆に「170円シナリオ」が遠のく3つの条件
ここまで170円になる条件を見てきました。
しかし、相場を一方向だけに決めてしまうのは危険です。
反対に、次のような動きが出れば170円から遠ざかります。
① 163~164円を突破できない
ドル円が再び160円を超えても、163~164円付近で何度も跳ね返されるなら、上値の重さが確認されます。
その後、高値を切り下げる動きが続くなら、170円シナリオは弱くなります。
特に、
164円
↓
160円
↓
158円
のように高値・安値が下がってくるなら、円安トレンドそのものを見直す必要があります。
② 日米金利差が縮小する
170円シナリオが遠のく大きな要因の一つが、日米金利差の縮小です。
たとえば、
FRBが利上げを終了
+
日銀が追加利上げ
という組み合わせです。
米国の金利が下がる、または日本の金利が上がれば、ドルを買って円を売るメリットは小さくなります。
日米の金融政策がどちらへ向かうかは、引き続き重要です。
③ 為替介入と金融政策が円高方向へ重なる
介入だけなら、時間が経つと再び円安へ戻ることもあります。
しかし、
為替介入
+
FRBの利上げ終了
+
日銀の追加利上げ
といった材料が同時に重なれば、状況は変わります。
介入をきっかけに円高方向への流れが続く可能性が高まるからです。
170円を考えるときは、
介入があるか
だけではなく、
介入したときの金融政策がどちらを向いているか
まで確認する必要があります。
「ドル円が170円になるのはいつ?」より確認したいこと
「ドル円170円」と検索する人の中には、
いつ170円になるの?
と知りたい人もいると思います。
ただ、私は、
「2026年○月に170円になる」と時期を決めることにはあまり意味がない
と考えています。
経済指標や金融政策によって、前提は数週間でも変わるからです。
それよりも、次の項目を確認する方が現実的です。
170円が近づいたと考えるチェックポイント
- □ 163~164円を明確に突破した
- □ 164円突破後も160円台を維持している
- □ FRBが高金利を維持している
- □ 日銀の追加利上げが進んでいない
- □ 為替介入後も163~164円台へ戻ってきた
- □ 財政・インフレへの懸念から円売りが強まっている
チェックが増えるほど、170円シナリオへの警戒度を上げます。
逆に、164円を突破できず、日米金利差が縮小しているなら、170円を急いで意識する必要性は下がります。
よくある質問
ドル円は本当に170円まで上がる可能性がありますか?
可能性はあります。
ただし、現時点で170円を基本シナリオとは考えていません。
170円は、164円突破や米国の高金利長期化など、複数の円安材料が重なった場合に考えるリスクシナリオです。
2026年末までの具体的なドル円予測については、別記事で詳しく分析しています。

170円に近づいたと判断する重要な価格はいくらですか?
現時点では163~164円付近を重要な価格帯として見ています。
2026年に実際に円安が進んだ高値圏だからです。
164円を明確に突破し、その後も160円台を維持できるかを確認します。
為替介入があれば170円にはなりませんか?
そうとは限りません。
為替介入は短期的にドル円を大きく動かす可能性があります。
一方、その後も米国の高金利や大きな日米金利差が続けば、再び円安へ戻るケースも考えられます。
介入そのものより、介入後の値動きと金融政策を見ることが重要です。
ドル円が170円になるのはいつですか?
正確な時期を予測することはできません。
「いつ」より、
- 164円を突破したか
- FRBは高金利を維持しているか
- 日銀は追加利上げを進めているか
- 介入後も高値へ戻っているか
といった条件を見る方が現実的です。
まとめ|170円は本命ではないが、条件次第では無視できない
1ドル170円と聞くと、かなり極端な円安に感じます。
しかし2026年には実際に164円近くまで円安が進みました。
さらに、みずほリサーチ&テクノロジーズや野村総合研究所も、基本予測ではないものの、リスクシナリオとして170円程度に言及しています。
だからといって、
次は170円だ
と決めつける必要もありません。
私が特に確認したいのは、
- 163~164円を明確に突破する
- FRBが高金利を維持する
- 日銀の追加利上げが進まない
- 為替介入後も163~164円台へ戻る
- 財政・インフレへの懸念が強まる
という5つの条件です。
以前の予測では、「170円へ向かう」という方向に考えていました。
しかし、その後の相場を見ると、164円近くまで円安が進む一方で、日米協調介入によって大きく円高へ振れる局面もありました。
相場は一つの方向だけを見ていればよいほど単純ではありません。
だからこそ、
170円になるかどうかを当てることより、「170円になる条件がそろってきたか」を確認する。
私はその方が、実際の相場を見るうえでは役立つと考えています。
なお、「170円に到達するか」と「円安が2027年まで続くか」は別のテーマです。
円安がいつまで続くのか、2027年までの長期的なドル円見通しはこちらの記事で詳しく分析しています。

※本記事は2026年9月23日時点の公開情報をもとに、AIを活用した分析を筆者個人が整理したものです。将来の為替レートや利益を保証するものではありません。FXでは価格変動によって損失が発生する可能性があります。最終的な売買判断はご自身で行ってください。



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